コラム&事例

資金繰り管理を知る

公開日:2024.04.30

財務・資金

資金繰りの重要性

企業にとって、「資金繰り」は屋台骨であり、最重要管理項目です。但し、「資金繰り」という言葉は良く聞くものの、“自分で資金繰りをしたことがない。”“資金繰りで困ったことがない”“資金繰り表を実は読めない”という方は実に経営者にも多いという事実があります。

 

なぜかと言えば、資金繰りが回らなければ、「会社は終わり」ですが、身につまされなければ気にすることがないからです。例えば、「売上は現金ですぐ入ってきます。利益は出ています。」という会社の場合は、資金繰りを心配する必要がないからです。

 

たとえば、たいていの子供は、家庭を持って家族を養ってくれているお父さんやお母さんがいれば、ごはんやお金の心配をすることはありません。なぜなら、家庭のお金を管理しているご両親がお金やご飯の準備をすべてやってくれているからです。

 

会社も一緒で、仕事はこれまでのお客さんがいる、お金は経理が管理してくれているという状況なら、経営者も目の前の資金繰りを意識し、管理する必要がないからです。

 

ただ、そんな平和な光景も、突然の経営危機が到来する(大抵の場合、そんなことが起きるとは思っていません)例えば、主力の客先が発注先を代えて、同業他社に売上の大半が流れる――例えば部品メーカーやコンビニの弁当製作工場などをイメージするとわかりやすいです。――ケースなどです。

 

売上が失速して、給与を支払ったり、仕入代金や税金が払えなくなったら、どうなるでしょうか?

 

正常な事業活動が運営できなくなり、事業継続を断念せざるを得なくなります。つまり、資金繰りというのは実感をお持ちの方は多くはないですが、企業にとって最重要・最優先の課題なのです。

 

資金繰りの構成を学ぶ

◇ 資金繰りは、主に次に構成でできています。

・日繰り表

・月次資金繰り表

・売上代金入金予定表

・仕入代金出金予定表

 

「資金がショートする(なくなる)」タイミングを知る必要があり、日々の資金不足をモニタリングする意味では、まずは「日繰り表」が重要で、これで毎日の資金残高から資金の過不足状態が分かります。とりわけ、資金ショートはどの時点で起きるかといえば、単純にお金がまとまって支出(買掛金の支払いや給与支払いなど)があるときがほとんどです。

 

但し、日繰り表は精緻に日々の入出金予定を管理できますが、「木を見て森を見ず」になり、毎月、人件費や、各経費、税金、返済などがいくら位支出するのかは、見えにくいという欠点があります。その意味で、月当たりの各分類項目の入出金の金額を積み上げて、月末資金の過不足状態を知るには、「月次資金繰り表」が重要となります。

 

「月次資金繰り表」は、月当たりの各分類項目あたりの金額規模を抑えるには適当なツールであり、月末ごとの資金残高の過不足を3カ月ないし6か月先まで見通すことができます。

 

月次資金繰り表を作成するとき、精査しなければならないのは、売上回収入金予定と仕入支払出金です。これは売上や仕入の予定月が分かり、それに基づく契約上の支払い条件(毎月〇日締め翌月末や翌々月末払い、現金または手形・電子債権等など)が分かって初めて、売上や仕入れがいつ現金化するかわかります。つまり、月次長期資金繰り表作成のためには、「売上代金入金予定表」作成が必須です。

 

同時に「仕入代金出金予定表」も同じように重要なわけです。

資金繰り管理のポイント

資金繰り管理の上で重要なのは、まず各資金繰り表や入出金の予定表間の“数字が合って整合している”ことです。

「そんなの合ってるに決まっているじゃないか」と考える方も多いと思いますが、意外と表間の数字はあっていないケースが多いです。なぜかと言えば、

 

・資金出入金は変動することが多く、一つに表だけ直して他を直し忘れる。

・数字のどこを合わせればいいか、担当者や経営者が正しく理解していない。

・全ての資金の動きの変化が正確に追いきれない。

※ここでいう資金の動きとは、金額の変更や入金、出勤日の変動のことです。

 

などの理由によります。ですから、資金繰り管理の各作表間の数字はあっているものと考えるのでなく、違っていないかという目線で、見ていくことが無難です。

 

資金繰りは事業のすべてに通じる

資金繰りは経理担当者だけでできるものではありません。営業部門の受注情報や、事業部門の仕入購買情報、諸経費額の見込みや確定値の把握など、営業部門、事業部門、経理事務部門が最新の情報を突き合わせないと、正確ないし正確に近いものはできず、これだと管理不十分になります。

 

また、途中の出入金の積み上げプロセスが不正確なのに、経営者は結果だけ見て一喜一憂しているようでは、経営はおぼつきません。確かに経営者は忙しい存在です。

 

しかし、資金繰りは正確か?近々資金ショートするリスクはないか?その場合に早期に金融機関等に資金調達に走る臨戦態勢を引く必要があります。

 

資金繰り・・甘く見てはいけません。屋台骨です。経営者でも知ったかぶりはいけません。詳しく理解すれば、経営の見える化や経営安定化のモニタリングは万全です。そんな認識を持って参りましょう。

この記事を書いた人

野澤周永

Nozawa Tomonaga
株式会社Vコンサル代表取締役
経営コンサルタント

「見える成果」を出す事が、コンサルタントのミッションです!

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