中小企業M&Aを成功させる方法
M&A・ PMI(組織統合)
2023年9月24日
株式会社Vコンサル 代表経営コンサルタント 野澤周永
中小企業M&Aを成功させる方法
中小企業経営者の高齢化が進む中で、中小企業経営者にとってM&Aは今や選択肢の一つとして、欠かせない施策となっています。
しかし、売り手、買い手がマッチングし、価格的にも双方が満足できるM&Aを実現したいものです。見ず知らずの相手と大きな金額で会社を売り買いするという一大事業ですから、失敗は許されません。
例えば、どんな所に仲介を頼んだらいいのか、公的な機関がよいのか、フットワークの軽い民間機関がよいのかなど、いろいろと悩ましい点が多くあります。
今日まで、会社を育て、慈しんできた経営者のあなたにとって、会社に行く末、懸命に働いてくれた社員さんたちの将来を案ずる気持ちは当然あり、その点が保証されることがご自身がM&Aの一番のポイントです。
今日は、M&Aを不安なく進め、「成功させる方法」をご教示したいと思います。
中小企業M&Aの手順を知る
(1)M&A相談
公的機関や民間M&A支援機関に相談します。
(2)仲介者やFAの選定
仲介・・売り手と買い手両方の仲介役です。
FA(ファイナンシャルアドバイザー)・・売り手と買い手のそれぞれにつく代理人です。
(3)バリュエーション
交渉の目安の企業価値を決算書等から判断します。
(4)マッチングの判断と交渉
候補となる譲受会社を選定し、交渉開始します。
(5)基本合意の締結
交渉対象会社を企業価値の目安等から選定し、守秘義務誓約をし、基本合意書を締結します。
(6)DD(デューデリジェンス)
資産評価や不良債権の有無他財務と事業実態を精査し、売買金額交渉の基礎とします。
(7)譲渡契約締結・クロージング条件決定
売買金額・役員人事他M&A成立条件を合意します。
(8)クロージング
決済・契約履行・成立させます。
中小企業M&A実行の注意点
(1)仲介者を含めた情報収集を行う
まずは、各都道府県の事業承継・引継ぎセンターやバトンズ等のM&A情報サイトに登録し物件情報の感覚をつかむこと。金融機関やM&A仲介機関に尋ねる方法もありますが、どうしてもビジネスありきになりがちです。
(2)相手企業の適格性のチェック
➀【価格】
入口は「企業価値対価格」が保有資源や収益性からみて適切かの判断です。
②【マッチング】
M&A後、新オーナーやグループと社風の親和性がありマッチングできるかが重要です。
③【経営・事業の引継】
中小の場合、旧経営者が事業を牽引してきたケースが多く、ノウハウ人脈の伝承が鍵です。
④【財務リスク回避】
DDでの精査はヒアリング等任意調査になるため、隠れ債務等のリスク回避を十分に行います。
4. 中小企業M&Aにあたって心構え
(1)社員他利害関係者を第一に
企業は継続してこそ価値があります。企業を動かすのは人であり、社員そして仕入先販売先、最終顧客です。これらの利害関係者の満足を実現できることがあるべきM&Aです。
(2)M&A支援機関等との信頼構築
前述の支援機関、M&A仲介者・FAなどはM&Aの事情に精通しています。その意味では、まず信頼構築を図り、自社のM&Aの成功をしっかりサポートしてもらえるような関係づくりを図ることが得策です。
その意味では依頼する段階で、仲介候補を複数ヒアリングし、ビジネス優先になっていないかなど目利きし、ここなら親身に相談にのっていただけると、確信が持てる先に依頼することです。
(3)M&Aは生命体の維持
M&Aは企業の終焉ではありません。有機的に企業活動を続けている会社という生命体を継続的に維持する目的だと理解しましょう。