中小企業の実際的問題解決法
IT・DX化
1. なぜ、中小企業の利益率は低いのか?
筆者は中小企業の経営コンサルティング事業をはじめて19年目になります。売上規模でいえば数千万円から100億を超え、500億円規模まで幅広い中堅・中小企業を対象にコンサルティングしています。そんな立場から見ていると、もちろん健全に黒字基調で安定的に利益を上げている会社もありますが、多くの中小企業の場合は、利益率は平均的に大企業に比べて低く、年ごとにも不安定であるといえます。
考えられる要因はいくつかあります。
➀経営資源がそろっていない。
人材がいない、機械が古い、資金繰りが不安定、情報が不足している、といった理由です。
②生産性が低い。
これは、➀の経営資源がそろっていないが故ということはあると思いますが、DX化が立ち遅れている、ITリテラシィが低い、また、業務が標準化されていないなど様々な理由が考えられます。
③外部環境に左右されやすい
もちろん、大企業でも外部環境に左右されますが、その影響度の差があります。財務力の差がそれに影響しているとも言えます。
2.中小企業の問題解決法の課題とその原因
それでは、それらを解決する方法があるかを考えてみます。率直に言えば、経営資源の不足やそれに伴う生産性の低さや、外部環境の影響をうけやすい性質が急転直下変わるわけではありません。ただ、それを少しずつでも良い方向を導くことは可能です。
それが、まさに「中小企業の知恵」であり、創意工夫ということになります。“人材がいなければいないなりに”例えば、沢山の製品バリエーションを持つことは、資源を分散配置することになります。すなわち、得意分野に「資源集中」ということが課題になります。そうすれば、資源効率は当然上昇することになります。
「生産性が低いから、それだけ残業しても仕事をこなす」といった「働き方改革」に逆行する考えも結局は、人の勤労意欲をそぐことになり、生産性向上にはつながりません。
限られた時間で高い生産性をあげるためには、人のモチベーションアップにつながる、休日など個人の時間を確保したり、代休や有休をとりやすくすることが大切です。休みを作ることが生産性アップに総体的につながることを知りながら、実際力を入れて実行されていないといったケースも多くみられます。
また、外部環境に左右されやすいことで本業の売上・利益が下がる兆候がみられたら、自社の強みや今のトレンド(機会)を生かした、新しいビジネスへの取組(事業再構築など)を本業の傍ら、推進して、付加価値向上を目指す。という方法は常套手段と言えます。
3.中小企業の大企業にない強みとは
中小企業の大企業にない強みは何でしょうか?
➀組織が小さく、経営者の意思決定が経営や事業に反映しやすい。フットワークの軽い経営のかじ取りができること。
②ニッチといわれる「ターゲットを絞った」ビジネス展開により、その分野では大きな総合企業よりも力を発揮して、強みをもちうること。(特定のサービスや製品に強みを持つということ)
③資源が限られているゆえに、人の活躍の場があること。人の余った大企業と違い、その人の持つスキルや技能、経験を十分に生かす機会がある。(多様性‥ダイバーシティに対応可能)
4.中小企業の実際的問題解決法
最後に実際的に効果をあげる問題解決法はなんでしょうか?
(1)マインドをもつこと。
利益向上や売上アップの施策にきちんと向き合い、そのために必要な施策を不退転で実行するマインドを持つことです。
(2)マイペースであること。
よくあることは自社より大きな会社をうらやむことです。それは意味のあることでしょうか?現実の資源の現状に合った、いわば身の丈にあったビジネスで最大効率をあげることで、その成果を得らえることで、大きな満足を得られます。自分の足で、自分のできることをマイペースで行えれば、必ず良い方向に導いていけます。
(3)一丸となって戦うこと
中小企業は人の数が限られ、「人の顔がみられる」組織と言えます。実態的に理念を共有して、情報共有を進めつつ、事業に取組み、改善を繰り返せば、必ず勝機はみつかります。
きれいごとをではありません。良いと考える施策を皆で一丸となって取り組むことが確実に大きなパワーを生み出します。