コラム&事例

中小企業の実戦的営業戦略

公開日:2024.05.17

マーケティング

営業・ブランディング

中小企業営業の実態

中小企業の営業は、経営者自らが営業先を開拓するいわゆる「トップ営業」が中心であることは否めません。何故かと言えば、中小企業には、人材とりわけ、「会社の売上を安定化させて利益を上げ、資産の豊かな会社にするぞ!」というマインドを心底から持てる人が来ない、育たないという事情があります。

 

それは、中小企業は人的資源が限られ、有能かつマインドの高い人材が皆大手に行ってしまい、わざわざ不安定で条件の悪い、中小企業には来ないからです。

 

しかし、これは冷静に考えれば、客観的にみて当然であり、自然の摂理といえます。では、中小企業の営業に安定化に道はないのか?いえ、そんなことはありません。むしろ、「不安定だからこそ、スリリングであり、逃げ場がないけれど、楽しい!」と言えなくもありません。

 

 

大手であれば、内部留保としての潤沢な資産そして現金も保有し、ちょっとした不況など外部環境の変化にもびくともしないというのが実状ですが、中小企業は、やれ大地震発生!やれ新型コロナ感染拡大!といった有事発生の都度、売上が下がり、雇用調整助成金をもらって一時しのぎするというのが実態です。

 

それでも、その厳しい中でどうやって乗り切っていくのがいいか、そして、受注拡大を名もなき中小企業がどうやって実現するかが、醍醐味であり、事業の楽しさでもあります。

 

人間は、「与えられるものは、当然のもの」という風に考え、安定した状況を当たり前と考えてしまいがちです。逆に言えば、どんなに高い報酬をいただいても、またどんなに休みをたくさんもらっても幸福感を一時的なものと言えます。

 

社員満足が営業マインドを醸成する

中小企業の営業・受注事情は不安定だといえます。客先も安定しません。だからこそ、新規開拓を含めて、チャレンジフルで、「必ず受注する!」という心意気を持って、考えぬいて俊敏に行動すれば、多くの場合結果がついてきます。

 

営業が不振で、「うちの営業と来たら!」と嘆く経営者の悩みをこれまで随分伺ってきました。しかし、その多くは、社長と営業マンたちの間に心のすきまがあり、気持ちが一つになっていません。

 

マインドが腐ってしまっているとか、「どうせやったって・・」「とりあえず給料をもらえるように当たらず触らずやっていこう」という意識で営業をしているケースも多く、これでは、元々組織として営業成果をだしきらないなと感じることも多いと言えます。

 

ではどうすればよいか?

社長が本当の意味で、社員満足を考えているか?と胸に手を当てて考えてみる必要があります。

 

そんなに高い給料は払えない、固定残業代以上は出せない、でも働いてほしい、と考える社長がいたら、「それはムリ」な話です。まずは、社員は、「この会社は自分たちの今や将来のことを考えてくれているか」という判断をちゃんとしています。

 

リアルハートで、少しでも成果に報いたい、沢山は払えないが、成果に対するインセンティブは何とか払っていきたい、休める範囲で最大限に休んでほしい。社員満足を完璧にできなくとも「できることをやっていこう」という社長のマインドがあれば、社員は一枚岩で戦っていこうという気持ちになります。

 

営業戦略を構築し、目標を設定する

➀営業分析・評価

過去3年間の営業成績・セグメント別(地域別・客先業種別・商品別・営業社員別)営業実績を「見える化」し、そのトレンドを理解します。

・全体として、受注は伸びているか、伸び悩みか、落ちてきているか?その理由は何か?

・どの地域、どの業種、どの商品が増える傾向にあるか?それはなぜか?

・最近頑張っている社員はだれか?

等を知り、営業戦略立案の資料となる営業分析を行い、その評価を実施することです。

 

②外部環境の変化を知り、市場の動向を理解する。

・今の情勢は当社の営業にどのような影響を与えているか?

・円安や金利の上昇などの経済政策が受注にどのように響くか?

・ウクライナ情勢や能登半島地震の影響はあるか?

 

③自社営業分析と外部環境・市場の変化から営業戦略立案

・攻める地域、攻める業種、個人向けか法人向けか、営業に一押しはどの商品か、また顧客へのアクセス方法つまりPULL(顧客を呼び込む)かPUSH(営業をかける)かを決める。

 

④全社目標設定からセグメント別目標設定へ

  • 全社の年度売上目標、受注目標を中長期目標の一里塚として設定する。ただし、積上げでの達成が可能かの検証は必要。
  • これを元に地域別・業種・法人個人別・商品別・月別・個人別などセグメント別の目標設定を行い、実現可能性を検証して決定する。頑張れば何とか達成できるレベルの目標としたい。

営業管理の実行

・予定の営業先をどのように巡回し、見込み客を落とさず受注にこぎつけているか?

・目標と実績の対比を定期的に「見える化」して管理して、その予実差異の対策を具体的に膝詰めで行っていく。あくまで責めるのでなく、受注促進のために共に考え、行動方針をとことん詰める。

・個人を責めるのでなく、チームとして目標を達成するために、チーム内で余裕のある社員がそうでない社員を支援し合える環境づくりに苦心する。

 

まとめ

営業目標未達成というケースは多くあります。まずは、月次・週次のルーティンで営業業績フォローと対策を実施することです。

 

多くの場合、営業成績がままならなくとも、営業の攻め方について「わかっているよ」「口をだすな」という社員は多いものです。それは、はっきり言って方法を考えついていないのです。言われるのが煩わしいと考えているだけです。

 

共に戦い、その社員の目標達成のために、共に考え、汗を流す、そんなマインドを持って、愚直に取り組んでいきましょう。

 

結果が出るまで頑張る必要があります。その「当たり前のことをちゃんとやる」ことこそが、“中小企業の実戦的営業戦略”なのです。王道はありません。実行あるのみです。

この記事を書いた人

野澤周永

Nozawa Tomonaga
株式会社Vコンサル代表取締役
経営コンサルタント

「見える成果」を出す事が、コンサルタントのミッションです!

  • 中堅・中小企業向け経営コンサル頼れるリモート顧問型経営コンサルティングです。
  • かかりつけ経営コンサル財務、事業、営業、人材育成、業務のシステム化など、課題を1つ1つに短期集中で解決。
  • 経営企画業務受託 建設業経営のコンサルティングを強みとするVコンサルの建設業特化サービス。

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