組織化の意義
2022年8月21日(日)
(株)Ⅴコンサル 代表経営コンサルタント 野澤 周永
(1)小規模企業のシェア
日本の事業所には、5人以下の小規模企業、更に言えば、社長自身が営業から事業まで1プレイヤーで行い、せいぜい事務管理を誰かに手伝ってもらう事業スタイルの事業所は、下記のように相当の割合で存在します。
小規模事業者が我が国企業の全体に占める割合(事業者数、従業者数、売上高)は、
企業数については、我が国の企業386.4万者のうち334.3万者、全体の約87%を占めている。従業者数は、総従業者数ベースで4,614万人のうち、1,192万人の約26%を占めています。
更に2014年に「小規模企業振興基本法(小規模基本法)」において、「小企業者」が定義され、常用雇用者5人以下の企業を小企業者とすることとなりました。
(2)「小企業者」の存在
小規模事業者334万者のうち、312万者が小企業者であり、小企業者は小規模事業者の93%を占める。また、個人事業者206万者のうち、205万者が小企業者であり、99%を占める。また、法人128万社のうち、107万社が小企業者であり、84%を占めています。
小企業がこれだけのシェアを占め、その存在感を示しています。これら小企業がこれだけ存在できているということでもあります。もちろんその規模感を維持して将来とも事業を行っていくという選択肢もあります。
(3)小企業の有する課題
その一方で、小企業を営んでいる方の立場として、外部的には
①今はお客様がついているからよいが、安定しているとはいいがたい。
(売上不安定)
②信用力がなく、規模感のある会社と競合すると分が悪い。
(営業力の不足)
③融資を受ける際に売上規模で枠があり、多額の融資はムリ
(資金調達力不足)
といった不利点が生じています。
また、内部的にも
①1人又は数人で口伝えの情報共有のため、事業オペレーションが非効率
(生産性の低さ)
②人・モノ・金・情報といった経営資源の更新が難しい
(乏しい成長の機会)
③広告費をかけられず、ブランドがないため、事業の良さを伝わらない
(営業的な不利さ)
これらは皆わかっていることではありますが、望んでいることではありません。しかし、事業拡大については、まず資金繰りのリスクがあり、失敗すれば倒産・自己破産の憂き目にあう懸念もあり、なかなか踏み込めないというケースが多いと思われます。
(4)組織化の意義
では、それで満足か?また、折角事業を行っているので、多くの人に自社の強みを知ってもらい、満足してもらい、社会の中での存在意義を持ち、かつ後継を育てて継承したいというお考えの方も多数いらっしゃるかと存じます。
それには、まず、「将来像を描く」ことです。5年後、10年後どうありたいのか、このまま力尽きるまで営業を続けて終わればよいのか、あるいはその事業資源を引継ぎ、次世代を担う人達にバトンタッチしていく希望があるのかの検証です。
(5)組織化を具体化する
もしそのような希望をお持ちなら、まず、その将来構想をビジネスプランとして具体化させることです。5年後、10年後に社員何名とし、売上規模はどのくらいにするか、そのために営業プロモーションをどのようにかけて、ブランド化していくかをまず考えます。
そのためにそのステップとしていつ頃人を増やし、事業管理のDX化を図り、効率のいいオペレーションを確立していくか、その際、補助金を活用するか、融資申請をどのように行っていくかといったことを具体的に計画し、アクションプラン作成まで落としていくことが必要です。
決して“今の事業規模が不満な訳ではない”、でもせっかく事業を始めたのだから、「夢をふくらませて、描く将来像を実現させたい」と考える経営者の方は、今一歩踏み出してみてはいかがでしょうか?一度しかない人生です。
以 上